相続の手続きの全体像 期限のあるものを、近い順にたどる
最終確認日
家族が亡くなると、気持ちの整理もつかないうちに、手続きの話が次々にやってきます。しかも、相続の手続きは「いつまでに」がばらばらです。この記事では、期限のあるものを近い順に並べ、それぞれの数え始めの日と、窓口を確かめました。
最初にお伝えしておくと、この記事は制度の全体像をつかむためのものです。あなたの家の場合に何をどうすればいいかは、窓口や専門家に聞いてください。 判断が必要なところは、そのつど「専門家に相談」と書いています。
なぜ、期限がややこしいのか
期限の数え始めが、手続きごとに少しずつ違うからです。
- 死亡届は、死亡の事実を知った日から数えます。
- 相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った日から数えます。
- 相続税の申告は、亡くなったことを知った日の翌日から数えます(通常は亡くなった日の翌日)。
- 相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から数えます。
「亡くなった日」だけを目安にすると、ずれることがあります。それぞれの手続きで、どの日から数えるのかを確かめてください。
期限の早見(近い順)
- 7日以内 死亡届死亡の事実を知った日から。届け先は、死亡した場所、届け出る人の住所地、一時滞在地、亡くなった人の本籍地のいずれかの区役所区民課です。埋火葬許可申請書も同時に出します。麻生区役所 区民課は 044-965-5123。
- 3か月以内 相続放棄自分のために相続の開始があったことを知った日から。亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。限定承認も家庭裁判所への申述が要ります。
- 4か月以内 準確定申告亡くなった人の、その年の所得についての申告です。相続の開始を知った日の翌日から4か月以内。
- 10か月以内 相続税の申告と納税必要な人だけ。亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内で、税務署に出します。
- 3年以内 相続登記不動産を相続で取得したと知った日から。10万円以下の過料の対象になる場合があります。
1 まず7日:死亡届
川崎市のよくある質問によると、死亡届の用紙は、亡くなった病院などで用意されている場合が多く、医師などが記入する欄があります。受付は、平日の8:30〜17:00と、第2・第4土曜の8:30〜12:30。それ以外の時間は、区役所の守衛室で受け取ってもらえます。
世帯主が亡くなったときは、世帯主の変更の届出が必要になる場合があります。亡くなった人のマイナンバーカードは、返す必要はありません。相続などの手続きでマイナンバーが要ることがあるので、手続きが終わるまで保管して、不要になったら破棄する、と市の案内にあります。
2 3か月:相続放棄を考えるなら
裁判所の案内では、相続人は次の三つから選べます。
- すべてを引き継ぐ(単純承認)
- 何も引き継がない(相続放棄)
- 財産の範囲で借金などを引き継ぐ(限定承認)
放棄と限定承認は、家庭裁判所に申し立てる必要があります。この記事では、裁判所のページで確かめられた放棄の期限(自分のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内)を書いています。限定承認の期限は確認できませんでした。家庭裁判所か専門家に聞いてください。放棄の申述にかかる費用は、収入印紙800円(1人につき)と連絡用の郵便切手などです。必要な戸籍などの書類は、亡くなった人との関係によって違います。
借金があるかどうか、わからないときなどは、判断に迷います。期限の考え方は、家ごとの事情で変わることがあります。迷ったら、早めに専門家(弁護士・司法書士)か家庭裁判所に相談してください。
3 4か月:準確定申告
亡くなった年の、1月1日から亡くなった日までの所得について、相続人が行う所得税の申告です。国税庁の案内では、相続人が2人以上いるときは、全員の連名で申告書を出すことになっています(各自が別々に出す方法もあります)。医療費控除など、使える控除には、亡くなる前に払った分だけが対象になるものがあります。申告が必要かどうか、控除をどう使うかは、税務署か税理士に相談してください。
4 10か月:相続税。まず「申告が要るか」を知る
相続税は、財産の合計が基礎控除額を超える場合に、申告と納税が必要になります。範囲内なら、申告も納税も不要です。
期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内。国税庁の例では、1月6日に亡くなった場合、その年の11月6日です。期限が土曜・日曜・祝日などにあたるときは、その翌日が期限とみなされます。申告書は、亡くなった人の住所地を受け持つ税務署に出します(相続人の住所地ではありません)。
財産の評価や、小規模宅地等の特例など、特例の使い方は、むずかしいところです。税理士か税務署に相談してください。 国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」で、おおよその確認もできます。
5 3年:相続登記(令和6年4月から義務に)
法務省のQ&A(令和7年3月27日現在)をもとにすると、次のとおりです。
- 不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に、登記をします。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になる場合があります。
- 令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、まだ登記していないものは、令和9年3月31日までが期限です。
- 遺産分割の話し合いで取得した場合は、その遺産分割から3年以内に、内容に合わせた登記が要ります。
- すぐに遺産分割が決まらないときは、「相続人申告登記」で義務を果たすことができます。ただし、これは、売ったり担保にしたりするときに使える登記ではありません。
登記の窓口は、不動産を受け持つ法務局です。法務局では、手続きの案内(予約制)をしています。登記の専門家は司法書士で、日本司法書士会連合会の相続登記相談センター(予約受付 0120-13-7832、平日10:00〜16:00)の案内も、法務省のページにあります。
遺言書が見つかったときは
自筆の遺言書を見つけたり預かったりした人は、遺言者の死亡を知ったあと、遅滞なく家庭裁判所に出して「検認」を請求することになっています。封をしてある遺言書は、勝手に開けず、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもとで開封します。
公正証書の遺言と、法務局で保管されている自筆の遺言(遺言書情報証明書が出るもの)は、検認は要りません。検認は、遺言が有効か無効かを決める手続きではない、と裁判所は説明しています。
遺産の分け方で、話し合いがつかないとき
相続人どうしで話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を使えます(申立ての費用は、亡くなった人1人につき収入印紙1,200円分と郵便切手など)。争いになりそうなとき、財産が多いとき、相続人が多いときは、弁護士などの専門家に早めに相談してください。
迷ったときの相談先
- 不動産の登記のこと法務局(手続案内は予約制)、司法書士
- 税金のこと税務署、税理士
- 放棄・調停・遺言書のこと家庭裁判所、弁護士
- 役所の届出のこと麻生区役所 区民課(044-965-5123)
7日と3か月を先に。そのあとは、4か月、10か月、3年と、近い期限から順に。期限のない手続きは、気持ちが落ち着いてからで間に合います。
出典
- 川崎市よくある質問「死亡届の手続方法について知りたい。」(2026年6月15日更新)
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 国税庁タックスアンサー No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁タックスアンサー No.4152「相続税の計算」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」(令和8年4月1日現在法令等)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日)
- 裁判所「遺言書の検認」
- 裁判所「遺産分割調停」
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