マンションの一括受電、うちはどっち? 万福寺は世帯の8割が共同住宅

最終確認日

先に答え

  • マンションでも、電気の会社はふつう自分で選べる。ただし、建物全体でまとめて契約している家は、契約や規約で制限されることがある
  • うちがどちらかは、管理組合(窓口は管理会社)に聞くのが確か。検針票での見分け方は、公式の資料で確かめられなかった
  • 「マンション全体で変わる」と言われても、その場で契約しない。検針票の番号は慎重に扱い、管理人か管理会社に確かめる
万福寺おやしろ公園から新百合ヶ丘駅の方を見た風景。線路の向こうに、高い集合住宅やビルが並んでいる
写真:Souka Kinmei/CC0(出典(別のウィンドウで開きます)・縮小)
この記事でわかること7つの章
  1. マンションでも、電気の会社は自分で選べる?
  2. あなたの町は、何割の世帯が共同住宅?
  3. 「建物でまとめて買う」は、どんな仕組み?
  4. うちはどっち? 確かめる先は2つ
  5. 「マンション全体で変わる」と言われたら?
  6. 選べる家なら、何から比べる?
  7. 選べない家なら、どうする?

平日の夜、万福寺のマンション。集合ポストに、電気の会社のチラシが入っていました。玄関では、知らない人に「マンション全体で、電気の会社が変わります」と言われたこともあります。

うちの電気は、建物で決まっているのか。それとも、自分で選べるのか。ここが分からないと、チラシを比べても意味がありません。

答えから言うと、マンションでも、電気の会社はふつう自分で選べます。 ただし、建物全体でまとめて電気を買う契約をしている家は、別です。そして、どちらの家かは、管理組合に聞けば分かります。

そこでこの記事では、2つの家の違い、確かめる先、勧誘の言葉への備えを順に並べました。国・区・国民生活センターの資料を読んでまとめた記事で、現地には行っていません。冒頭の場面は、よくある例として書いています。

平日の夜・集合ポストの前

ポン君

マンションの電気って、建物で決まってるんだよね?

ポン君リンちゃん

ふつうは選べるの。建物でまとめて買っている家だけが、別なのよ

マンションでも、電気の会社は自分で選べる?

選べます。ただし、建物全体でまとめて電気を買う契約をしている家は、その契約や規約で制限されることがあります。資源エネルギー庁の「よくある質問」に、そう書いてあります。

そのうえで、国の答えは「管理組合等にご確認下さい」です。つまり、最初に確かめる先は、自分の部屋ではなく建物の側です。

一方で、賃貸の部屋は少し話が変わります。同じ「よくある質問」は、いまの電気の契約の名義が本人なら切り替えられる、としています。他人の名義なら、その人に確かめる、という答えです。

では、なぜ「マンションは建物で決まっている」と思う人が多いのか。建物の設備は管理の側が決めるもの、と考えるのは自然です。調べる手間も省けますよね。ところが実際には、建物で決まる家と、自分で選べる家の2つがあります。この建物でまとめて買う形が、「一括受電」です。資源エネルギー庁の2019年の資料も、この言葉を使っています。

あなたの町は、何割の世帯が共同住宅?

麻生区の28地区のうち16地区で、半分をこえる世帯が共同住宅・長屋建の住まいです。麻生区役所の「地区カルテ」は、区を28の地区に分けています。そして地区ごとに、住宅の建て方別の世帯の割合(2020年の国勢調査)を載せています。28枚を全部開いて並べたのが、次の図です。

麻生区28地区の、共同住宅・長屋建に住む世帯の割合の横棒グラフ。白山99.9%、南黒川96.3%、百合丘83.7%、万福寺83.4%、虹ケ丘82.6%、黒川75.8%、栗平74.9%、上麻生71.8%と続き、いちばん低いのは早野の16.6%
麻生区「地区カルテ」の28地区の地域情報シート(住宅の建て方別世帯割合。2020年の国勢調査)から、こちらで並べて作成。濃い棒は万福寺と上麻生。

たとえば、8割をこえるのは白山・南黒川・百合丘・万福寺・虹ケ丘の5地区です。万福寺は83.4%(このうち共同住宅だけで82.0%)、上麻生は71.8%でした。反対に、早野は16.6%、王禅寺は17.2%で、一戸建ての町です。

ただし、この数字には、アパートや団地も入っています。となりと壁がつながった長屋建の家もふくみます。たとえば栗木は、48.4%のうち44.7%が長屋建です。分譲か賃貸か、建物でまとめて電気を買っているかは、カルテには載っていません。だから、この図で分かるのは、「うちはどっち?」と確かめる場面がありうる世帯の多さまでです。

高台から見た新百合ヶ丘駅のまわり。線路の向こうに高い集合住宅やビルが並び、右に送電の鉄塔が立っている
高台から見た新百合ヶ丘駅のまわり。(撮影:sorarin/CC BY 3.0/ウィキメディア・コモンズ)2008年9月の撮影です。撮影の時期は、いまの様子とはちがうかもしれません。写っている建物が一括受電かどうかは分かりません。

「建物でまとめて買う」は、どんな仕組み?

建物の受電の設備を持って管理する事業者が、そこから各戸に電気を届ける仕組みです。資源エネルギー庁の2019年3月の資料が、国の指針を引いて、この形を説明しています。この事業者は「一括受電事業者」と呼ばれます。

ポン君その事業者って、ふつうの電気の会社とはちがうの?

リンちゃん法律の上では、電気を買う「お客の側」に入るの。だから、小売の会社と同じ義務は課されていない、と資料に書いてあるわ。

その資料によると、小売の会社には、料金などの条件を説明する義務や、苦情に応じる義務があります。一方で、一括受電事業者には、それが法律では課されていませんでした。そのかわり、国の指針は、小売の会社と同じ守り方をするのが「望ましい」としています。

実際に、資源エネルギー庁は2018年12月から、17の事業者を調べました(答えは事業者の自己申告)。すると、17のうち大部分の事業者は、各戸の料金を、大手の電力会社のふつうの単価から数%割り引いていました。ただし、住む人の苦情の例も挙がっています。管理組合が事業者と長い契約を結んでいて、当面やめにくい、というものです。

つまり、まとめて買う家にも、料金や契約の決まりがあります。その決まりを結んでいるのは、管理組合の側です。どれも2019年の時点の資料です。いまの決まりと同じかは、確かめていません。

うちはどっち? 確かめる先は2つ

管理組合(窓口になっている管理会社)と、入居のときにもらった書類の2つです。国の答えが「管理組合等にご確認下さい」なので、まずは管理会社に1本、電話かメールをします。

聞くときは、次の一言をそのまま使えます。

管理会社に聞く一言

「この建物は、電気を建物全体でまとめて買っていますか(一括受電ですか)。そうなら、各戸で電気の会社を変えられますか」

次に、書類です。2019年の国の調べでは、17の事業者がみな、問い合わせの連絡先を知らせていました。知らせ方は、書面・ウェブサイト・重要事項説明書・パンフレットでした。だから、入居のときの重要事項説明書に、電気の連絡先が書かれていることがあります。

一方で、検針票のどこを見れば見分けられるかは、公式の資料で確かめられませんでした。なので、この記事では検針票を確かめる先に入れていません。

うちの電気、自分で会社を選べる?

答えを選ぶと、結果と次にすることが出ます。質問は最大2問です。

管理組合(管理会社)に聞いたら、建物全体でまとめて電気を買っていましたか?

はいいいえ

いまの電気の契約は、自分の名義ですか?

はいいいえ

建物で決まる家です

建物の契約や規約で、自分だけでは変えられないことがあります。次にすること:変えられるかどうかと、契約の期間・やめるときの条件を、管理組合に聞く。料金のことは、一括受電の事業者の連絡先へ(重要事項説明書などに書かれていることがあります)。

最初から

自分で選べる家です

電気の会社を比べて選ぶのは、自分です。次にすること:いまの契約の期間と、やめるときの条件を確かめてから、比べる物差しのページを見る。

最初から

名義の人に確かめます

国の「よくある質問」は、他人の名義の契約なら、その人に確かめる、としています。次にすること:大家さんや管理会社など、名義の人に切り替えてよいかを聞く。

最初から

「マンション全体で変わる」と言われたら?

その場で契約せず、管理人か管理会社に確かめます。国民生活センターが、2026年2月10日の注意の呼びかけで、そう助言しています。

というのも、この言い方の勧誘は、何年も前から続いているからです。2019年12月の国民生活センターの資料には、こんな例があります。賃貸マンションに住む人が「マンション全体で電力会社が変わる」と電話で言われ、お客様番号を伝えました。ところが、管理会社に聞くと、変える予定はありませんでした。

2026年の資料にも、似た例が載っています。一人暮らしのアパートに事業者が来て、「このアパート全体の電力プランが変わる」と言いました。そして、申込書に書いてしまった、という例です(2025年7月の受付、20歳代の男性)。後日、管理会社に聞くと「知らない」と言われました。

2,978件全国の、電力の小売の相談件数(2025年度。2025年12月31日までの登録分)。前の年の同じ時期は3,045件、2021年度は8,039件でした(国民生活センター)

数は減っています。それでも、国民生活センターは、建物全体の契約が変わるかのような説明の相談が「依然として」ある、としています。

では、なぜ検針票が大事なのか。事業者は、検針票に書かれた氏名・住所・顧客番号・供給地点特定番号などで契約を行っているからです。だから、契約するつもりがなければ、はっきり断ります。検針票に書かれた情報も、慎重に扱います。

もし、訪問販売や電話勧誘販売に当たる形で契約してしまったら、クーリング・オフができる場合があります。決まった契約書面を受け取った日から8日以内なら、原則としてできる、と国民生活センターは書いています。

川崎市の窓口
川崎市消費者行政センター 電話044-200-3030。月〜金曜は午前9時〜午後4時(金曜は電話のみ午後7時まで)、土曜は午前10時〜午後4時(電話のみ)。市内に住む・通勤・通学する人が対象
全国の窓口
消費者ホットライン 188(局番なし)。近くの消費生活センターなどを案内します
電気の契約のトラブル
電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口 電話03-3501-5725

選べる家なら、何から比べる?

まずは、いまの契約の中身からです。前は「建物で決まっている」と思っていた家も、選べると分かれば、比べるのは自分です。

外壁の箱の中にある電気のメーター。上に「低圧計量器盤」と書いた札があり、ガラスの窓の中に数字の表示が見える
電気のメーターの一例(関西で撮られた写真で、麻生区のものではありません)。(撮影:Gjgjyhol/CC BY-SA 3.0/ウィキメディア・コモンズ)

資源エネルギー庁の「よくある質問」は、会社を選ぶときに気をつける点を並べています。そのうち、いまの契約で先に確かめたいのは次の4つです。

  • 契約の期間は、いつからいつまでか
  • 毎月の料金はいくらで、どうやって決まるか
  • 割引があるなら、いくらで、いつまでか
  • 途中でやめるとき、解約の手数料などがかかるか

この4つが分かれば、ほかの会社と同じ物差しで並べられます。停電のことも、心配はいりません。会社を変えても、新しく電線を引くことはありません。電気の品質や停電の起きやすさも、どの会社から買っても同じです(同じ「よくある質問」)。

申し込みの順番は、引っ越しのときの記事「はるひ野・黒川に越してきたら、電気の会社をどう選ぶ?」にまとめました。

選べない家なら、どうする?

建物の契約は管理組合の側の決めごとなので、変えたいときは管理組合に相談します。その契約や規約で、自分の切り替えが制限されることがある、というのが国の答えです。

そのうえで、料金や請求のことは、一括受電の事業者の連絡先に問い合わせます。2019年の国の調べでは、事業者はみな連絡先を知らせていて、停電の問い合わせにも電話などで応じていました。困ったときや、話がこじれたときは、188に電話します。

マンションのネットも、建物の配線で速さの上限が決まります。考え方は「マンションのネットは配線しだい」にまとめました。

ポン君リンちゃん

管理会社に聞く一言、メモしとこう

チラシを比べるのは、答えを聞いてからね

まとめると、チラシより先に、管理会社への1本です。今夜できることは、管理会社の連絡先を確かめて、「建物でまとめて電気を買っていますか」と聞く一言をメモしておくこと。答えが分かれば、比べるか、管理組合に相談するか、次の一歩が決まります。

出典

内容は変わることがあります。最新の情報は、国・市・管理組合の案内で確認してください。

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