柿生の再開発は中止? 中止の発表は見当たらず、予定が2回書き換わった

最終確認日
答え:中止の発表は、私たちが開いた市の資料には見つかりません。 ただし、工事の予定の年は2回書き換わり、どちらもすでに過ぎています。
ビル(柿生駅前南地区の再開発)は、まだ「都市計画の手続き」の前。先に動いているのは道路で、世田谷町田線の約1.6kmが2026年3月31日に4車線で完成し、南口の駅前を通る柿生町田線は用地の買い取りが続いています。
この記事では、2026年10月6日に市の資料を開いて、言えること・言えないことを分けました。最後に、次の動きが出る場所を1つ紹介します。(私たちは現地には行っていません。資料から分かることだけを書きます。)
「中止になった」という発表は、どこかにある?
南口のタワーは、中止になったのでしょうか。手がかりは、市の資料にあります。
平日の朝
南口のタワーの話、もう聞かないね
完成は2024年だったはず。中止なんでしょ?
えっ
市の資料では、2025年度も調整を続けてるの
じゃあ、いつ建つの?
それは資料に書いてないの。順に見ましょ
検索すると、「柿生 再開発」のあとに「中止」「白紙」「反対」「いつから」という言葉が並びます(2026年10月6日のGoogleの候補)。気になっている人が多い、ということです。
そこで、市の資料を新しい順に開きました。答えから書くと、「中止」「廃止」「白紙」と書いたものは、1つもありませんでした。逆に、続けている前提の資料が、2025〜2026年にも出ています。
- 2026年8月20日公表:市の「事務事業評価シート」(令和7年度=2025年度の分)。柿生駅周辺地区再開発等事業について、都市計画の手続きに向けて計画案の調整をし、地元の合意づくりを進めた、と書いています。今後も、準備組合と連携して手続きに取り組む、という方向です
- 2026年2月公表:市の総合計画の改定案。麻生区のページで「柿生駅周辺地区の整備」は「事業推進」となっています
- 2025年8月14日登録:南口の近くで「柿生駅南口地区まちづくり会」が市に登録されました。活動の目的は「柿生駅前再開発事業と併せて」商業施設を充実させること。設立の理由にも、再開発で駅前の商店街が減ることを見こんで、とあります
- 2026年7月31日:市の環境影響評価の手続きのページが更新されました。ただ、何が変わったのかは、ページからは読み取れません
まとめると、こうです。
| 気になること | 市の資料で言えること | 言えないこと |
|---|---|---|
| 中止? | 中止の発表は見つからない。2025年度も手続きに向けた調整を続けた | 「必ず建つ」とも言えない |
| いつ建つ? | 2回の予定は、どちらも過ぎた | いまの着工・完成の予定 |
| なぜ遅い? | 2009年12月の議会で「約25年、進ちょくがない」と質問 | 遅れの理由(公式の説明なし) |
| 道路は? | 世田谷町田線の約1.6kmは4車線で完成。駅前の道は2029年度までが目標 | ビルの時期との関係 |
ネットには「2028年以降に完成」という見出しも見かけます。ただ、その数字の出どころになる市の資料は、見つけられませんでした。この記事では使いません。
予定の年は、どう書き換わった?
予定の年は2回書き換わり、2026年10月のいま、どちらも過ぎています。市の資料に出てくる予定の年を、1枚に並べました。
1回目は、2018年12月の市の評価です。地上30階・地下1階のビルで、着工は2021年4月、竣工は2024年10月の予定でした。
2回目は、2020年2月18日の環境影響評価書のお知らせ。工事の期間は「令和4年1月(着工予定)〜令和8年1月(完了予定)」、つまり2022年1月から2026年1月に書き換わっています。着工は9か月、完了は1年3か月、後ろへずれました(こちらで計算)。
そして2026年10月のいま、どちらの年も過ぎました。3回目の予定は、市の資料には出ていません。
「進まない」と言われたのは、いまに始まった話ではありません。2010年2月発行の市議会の広報紙には、「事業開始から約二十五年経過したが進ちょくがない」という質問が載っています。1984年の構想から数えると、駅前は40年以上「これから」のままです。年表は 柿生駅の歴史と再開発の年表 にまとめています。
ビルより先に、何が動いている?
先に動いているのは、道路です。世田谷町田線は4車線になり、南口の駅前を通る柿生町田線は、用地の買い取りが進んでいます。くわしく見ていきます。
2026年3月31日 世田谷町田線が4車線に
市の報道発表(2026年4月22日)によると、世田谷町田線の麻生警察署前交差点から柿生駅付近まで、約1.6kmの整備が3月31日に完成しました。車線を2本から4本に増やし、歩道を広げ、自転車の通る位置を示す矢羽根の表示と中央分離帯を付けています。
南口の駅前 柿生町田線は、用地の買い取りが76%
南口の駅前を通るのが、柿生町田線の「柿生駅南口工区」です。長さ約320m・幅16mで、事業の認可は2007年5月15日(市の事業路線情報)。
同じ資料で、この工区は「後期②完成見込み(5工区)」に入っています。後期②は、2026〜2029年度のことです。2026年2月の総合計画の改定案でも、完成は「R11年度」(2029年度)です。
この道も、予定は一度ずれています。2011年9月発行の議会の広報紙では、市は「26年度完成を目指した道路用地取得」に努める、と答えていました。平成26年度、つまり2014年度です。
ビルと道路は、無関係ではありません。2009年12月の議会で(2010年2月発行の広報紙)、市は再開発について、柿生町田線の整備の進み具合に合わせて地権者の意向を確かめ、前へ進めたい、と答えています。道路の進み具合は、ビルを見るときの手がかりの1つです。ただ、道路が終われば何年後にビルが建つ、という説明は、市の資料にはありません。
ビルが止まって見えるあいだも、駅のまわりの道路は、少しずつ進んでいます。
2020年の計画書では、どんな建物だった?
2020年の計画書では、駅前広場の側に店の低い棟、南側に地上30階の住まいの高い棟、という2つの棟でした。
ここからは、計画の中身です。主語は、すべて「2020年の計画書(環境影響評価書)では」。決まったものではなく、評価書にも、詳細は今後の協議で変わることがある、と書かれています。
ポン君環境影響評価書って、むずかしそう。何の書類?
リンちゃん大きな建物を建てる前に、まわりの環境にどんな影響があるかを、事業者が調べてまとめる書類よ。建物の大きさや台数も、そこに書いてあるの。
- 建物
- 2つの棟。駅前広場の側に店の低い棟(地上2階・地下1階)、南側に住まいの高い棟(地上30階・地下1階)。高さ約105m(屋上の設備まで入れて約110m)
- 住まい
- 約300戸。1戸あたりの広さは平均約71㎡
- 店
- スーパー・飲食や物販の店・金融機関など。9時〜22時(一部は24時間の予定)、年365日
- 子育て
- 高い棟の下の階に、保育施設を含む生活に便利な施設。2018年の市の評価の資料では、園庭のある認可保育所
- 自転車と車
- 駐輪場約750台(1階と地下1階)。駐車場約134台
- 駅前広場
- 南口の駅前広場を約2,200㎡に広げ、バスやタクシーが入れるようにする(都市計画の案)
いま、南口のバスは「バス暫定広場」を使っています(2007年4月から使用。市のページ。2025年度の事務事業評価にも、暫定広場の維持管理が出てきます)。計画書どおりなら、バスは駅前の広場に入れるようになります。
計画の完成予想図は、この記事には載せていません。市のページに、評価書の図の著作権は事業者にあり、転載しないように、とあるためです。見たい人は、市の「環境影響評価書(継続公表)」のページで、本文を開いてください。
次に動くとしたら、何が出る?
ビルを建てる前には、都市計画を決める手続きが要ります。計画書には、その手続きが7つ挙がっています。用途地域の変更(容積率を上げる)、駅前広場を広げるための柿生町田線の変更、再開発事業の決定、地区計画の決定などです。
市は、都市計画が決まるまでの流れを、こう案内しています。
- 素案の説明会市政だよりやホームページで知らせる
- 素案の縦覧・公聴会2週間、市の都市計画課と区役所で見られる。公聴会で意見を述べる申し出ができる
- 原案の縦覧地区計画だけ。地区の中に土地や建物の権利を持つ人が対象
- 案の縦覧2週間。この間に意見書を出せる
- 都市計画審議会案と、出された意見書を審議する
- 決定の告示告示の日に、都市計画が決まる
市の案内には、素案の説明会・縦覧・公聴会を行わない場合もある、とも書かれています。
では、柿生はいま、この流れのどこにいるのでしょう。2026年10月6日の時点で、市の「現在手続き中の都市計画案件」のページに、柿生の案件は載っていません。市の事務事業評価も、「都市計画手続に向けて」計画案の調整をした、という書き方です。ここから、ビルは流れ図のいちばん上(素案の説明会)より前にいる、と私たちは読みました(こちらの整理)。
つまり、「中止」かどうかより、この流れ図の1段目が始まるかどうかが、次の目印になります。
結局、どこを見ていればいい?
見ていればいいのは、市の「現在手続き中の都市計画案件」のページです。
手続き中のページ、毎月見てみる
柿生の名前が出たら、それが合図ね
次にすることは1つです。川崎市の「現在手続き中の都市計画案件」のページを、ときどき開いてみてください。柿生駅前南地区の名前が出て、素案の説明会の日にちが載れば、ビルが次の段へ進んだ合図です。説明会は、市政だよりでも知らされます。
道路の進み具合は、市の「事業路線情報(柿生町田線柿生駅南口工区)」のページに出ます。
ビルは「手続き中の都市計画案件」、道路は「事業路線情報」。この2つのページで、次の動きを追えます。
柿生の駅と町の話は、こちらへ。
- 駅と駅前の100年:麻生区でいちばん古い駅は柿生
- 駅からのバス:麻生区を走るバスは5種類
- 「柿生」の名のもと:禅寺丸柿は日本最古の甘柿といわれる
- 区の人はどこで買い物する?:麻生区の買い物先は新百合ヶ丘76.6%、次が町田36.3%
- 町の一覧:上麻生 片平 駅の一覧:柿生
出典
- 川崎市「柿生駅前南地区」(評価結果)/同 評価結果の概要(PDF)(評価日2018年12月6日。階数、着工と竣工の予定、認可保育所)
- 川崎市「313 柿生駅前南地区施設建築物建設計画に係る環境影響評価手続」(更新日2026年7月31日)/同 評価書の縦覧のお知らせ(PDF)(2020年2月18日。施行期間)
- 川崎市「環境影響評価書(継続公表)」/同 第1章(PDF)(2020年2月。都市計画(案)の概要、建築計画、住戸・店舗の計画)
- 川崎市「『川崎市総合計画』第3期実施計画・総括評価結果及び令和7年度事務事業評価結果について」(2026年8月20日公表)/同 政策4-5の事務事業評価シート(PDF)(柿生駅周辺地区再開発等事業)
- 川崎市「川崎市総合計画 改定案」をとりまとめました(2026年2月5日公開。麻生区の主な事業、第4期実施計画)。総合計画は2026年3月30日に改定(市の報道発表)
- 川崎市「川崎市総合計画 第3期実施計画」(基本政策4、施策4-5-2。変更のある事務事業の一覧)
- 川崎市「柿生駅南口地区まちづくり会」(登録2025年8月14日、更新2026年4月30日。活動の概要と活動概要書)
- 川崎市「柿生駅周辺地区のまちづくり」(2018年8月14日更新。バス暫定広場の使用開始)
- 川崎市 報道発表「都市計画道路 世田谷町田線(片平・上麻生Ⅰ期工区)の整備が完成しました」(PDF)(2026年4月22日)
- 川崎市「事業路線情報(柿生町田線柿生駅南口工区)」(更新日2026年4月22日。延長・幅員・事業認可)
- 川崎市「第2次川崎市道路整備プログラム 後期②の取組」(PDF)(2026年3月公表の確定版。用地取得率、完成の見込み)
- 川崎市議会「議会かわさき」第82号 一般質問(2010年2月21日発行)/同 第89号(PDF)(2011年9月1日発行)
- 川崎市「都市計画の決定及び変更までの流れ」/同「現在手続き中の都市計画案件」(2026年10月6日に確認)
- 検索の候補:Google(2026年10月6日)
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