万福寺は、麻生区と同い年の町 区役所のある町の40年と、これから

最終確認日
万福寺は、麻生区と同い年の町です。
麻生区が生まれたのは1982年。区役所の建物が建ったのも、同じ1982年です。そのあと数年で、市民館・図書館、消防署、休日急患診療所の建物も、同じ番地に並びました。それから40年あまり。いま、この建物たちを建て替える話が、動き出しています。
この記事は、「新百合ヶ丘のあたり」としか思っていなかった万福寺を、年表と数字で見直します。引っ越してきたばかりの人が最初に知っておく3つも書きました。
犬区役所の建物って、区と同い年なの?
猫市の資料では、区役所の庁舎は1982年築。区の誕生も1982年7月よ。同い年と言っていいと思うの。
区役所のある町は、いつ、どうできたの?
「万福寺という寺は、いまはない」「新百合ヶ丘という町名もない」という話は、名前のなぞを解いた記事 に書きました。ここでは、その先の話です。町が、何を経て「区の顔」になったのか。
| 年 | できごと | 出典 |
|---|---|---|
| 1889年 | 万福寺村が、柿生村の「大字万福寺」になる | 地名報告書 |
| 1939年 | 柿生村ごと、川崎市に入る | 地名報告書 |
| 1955年ごろ | 宅地造成が始まり、万福寺人参の畑が短い間に消える | 地名報告書 |
| 1974年 | 新百合ヶ丘駅ができ、土地区画整理が進む | 川崎市の意見募集ちらし |
| 1982年 | 麻生区が多摩区から分かれる。区役所の建物ができる | 区統計書・市の概要版 |
| 1984〜85年 | 休日急患診療所、市民館・図書館、消防署の建物ができる | 市の概要版 |
| 2007年 | 万福寺1〜6丁目が、いまの形になる | 地名報告書 |
1955年ごろから1982年まで、わずか30年弱です。地名報告書は、万福寺について「近年までは純農村地帯」だったと書いています。その町に駅ができて、区が生まれて、役所が建った。まわりの町より、変わり方が急だったのだろうと思います。
万福寺には、いま何人住んでいるの?
川崎市の町丁別人口(2025年9月末)では、万福寺は9,539人、4,270世帯でした。麻生区の町別の資料は28あり、人口は多いほうから7番目です。区全体にくらべると、こうなります。
| 項目 | 万福寺 | 麻生区 |
|---|---|---|
| 人口 | 9,539人 | 177,797人 |
| 世帯数 | 4,270世帯 | 85,254世帯 |
| 65歳以上の割合 | 15.48% | 24.57% |
| 14歳以下の割合 | 12.58% | 11.51% |
65歳以上の割合は、28の町別資料のなかで、低いほうから3番目です(筆者が28枚を見比べました)。一方、14歳以下の割合は区より高い。若い町、というのは数字でも言えます。
ただ、ここで足を止めたい数字があります。同じ資料のグラフを、2012年と2025年で比べてみます(足し算は筆者)。
- 全体8,784人 → 9,539人(+755人。約8.6%増)
- 14歳以下1,823人 → 1,200人(約34%減)
- 65歳以上830人 → 1,477人(約78%増)
人口は増えているのに、子どもは減って、高齢の人が増えています。新しい町も、同じように年を重ねている、ということです。
そのほかの数字も並べておきます。
- 住まいは、共同住宅の世帯が82.0%、一戸建が16.6%(2020年の国勢調査)。
- 面積は、地名報告書で65ヘクタール。人口を面積で割ると、1ヘクタールに約147人です(筆者の計算)。
- 住んで10年未満の人は、およそ35.3%。10年以上の人は、およそ41.8%(同じ国勢調査)。
人参畑は、どこへ行ったの?
地名報告書には、いまの万福寺からは想像しにくい話があります。
第二次世界大戦のあと、地元の農家の努力で生まれた「万福寺人参」は、全国の農産物の品評会で5年続けて優等賞をとり、とくに松本方面へ大量に出荷されたそうです。ところが、1955年ごろから始まった宅地造成で、よい栽培地を失い、短い間に姿を消した、と報告書は書いています。
区役所の建物が建つ、約30年前のことです。人参がどこまで広がっていたかは、資料では確かめられませんでした。ただ、駅の周りの町が、ほんの少し前まで畑だったことは、この一文から伝わってきます。
もうひとつ。万福寺会館は、もとは医王寺という寺の跡だそうです。会館には、室町から江戸のころの仏像が5体あり、その数から「記録に残らない万福寺という寺の仏像が、含まれているのでは」と言う人もいる、と報告書にあります。言い伝えの域は出ません。それでも、寺の名前だけでなく、寺の気配も町に残っているようです。
区の施設が、なぜ万福寺1丁目に並んでいるの?
「なぜここに集めたのか」を一言で書いた資料は、今回は見つけられませんでした。わかるのは、事実の並びです。
| 施設 | 場所 | 建築年 |
|---|---|---|
| 麻生区役所 | 万福寺1-5-1 | 1982年 |
| 麻生市民館・図書館 | 万福寺1-5-2 | 1985年 |
| 麻生休日急患診療所 | 万福寺1-5-3 | 1984年 |
| 麻生消防署 | 万福寺1-5-4 | 1985年 |
番地が、1-5-1から1-5-4まで続いています。市の資料では、駅の開業を機に区画整理をして以降、大きな施設の更新がないまま約40年が経った、とされています。川崎市アートセンター(万福寺6-7-1、2007年築)も、同じ町です。
区の窓口、図書館、消防署、休日の急患診療所が、番地ひとつ違いで並んでいること。手続きと、本を借りることと、いざというときの備えが、同じ町の中でそろっています。
もうひとつの発見は、これらが、ほぼ同い年だったこと。そろって40年を超えたので、建て替えを一緒に考える話が出てきました。
いま、何が決まっていて、何が決まっていないの?
決まっていることから。市は2025年3月に「新百合ヶ丘駅周辺地区まちづくり方針」を、2026年3月に「新百合ヶ丘駅北側地区まちづくりの基本的考え方」を、それぞれ決めました。区役所、市民館・図書館、消防署、休日急患診療所は、築40年を超えた施設として、まとめて建て替える方向で検討されています。
この考え方の元になった案の概要版には、駅の北口の駅前広場が約1,400平方メートルしかなく、ピーク時にいっぱいになる、とあります。路線バス全27路線のうち、約4割にあたる12路線を北側に移す案も見えます。
- 2025年3月まちづくり方針ができる
- 2026年3月北側地区の基本的考え方ができる(案への意見は、153通・399件)
- 2026年4月区役所の周りの地主さんたちによる協議会ができる
- 2026年8〜9月区役所・市民館・図書館を考える市民ワークショップ(全3回の予定。結果は確認できていません)
- 令和9年度(2027年度)駅北側の公共施設の基本計画をつくる予定
決まっていないことのほうが、まだ多いです。いつ、どこに、どんな建物になるのか。工事の時期はいつか。今回確かめた市の資料では、わかりませんでした。窓口が今すぐ変わる、という話でもありません。
万福寺に引っ越してきた人が、最初に知る3つ
- 自分の番地で、小学校と避難所が決まる万福寺は、同じ丁目でも番地で分かれます。小学校は、市の町丁名順の一覧(2017年11月更新。古いので、正式には学校か区役所の区民課で確認)では、麻生小、百合丘小、千代ヶ丘小の3つに分かれます。たとえば2丁目は、1〜3番と22番が麻生小、4〜21番が百合丘小です。
避難所も、麻生小(収容4,289人、うち屋内1,274人)、百合丘小(4,609人、うち屋内1,953人)、南百合丘小(6,035人、うち屋内1,790人)に分かれます(市の一覧、2025年4月1日現在)。万福寺の2丁目は、百合丘小が大半で、南百合丘小が一部です。この人数は、対象の町全体で使う数なので、万福寺の人口(9,539人)で割り算はできません。自分の番地の避難所は、一覧と、区の防災マップで確かめてください。避難所と避難場所のちがいは、クイズで確かめられます。 - ごみは、万福寺のどこでも同じ曜日万福寺は、全域が同じ収集日です(市の収集日一覧、2026年4月1日更新)。普通ごみは火曜・金曜、プラスチック資源は月曜、ミックスペーパーは水曜、空き缶・ペットボトル・空きびん・乾電池は木曜、粗大ごみ・小物金属は第2・4回目の月曜です。調べ方と決まりは、ごみ収集日の調べ方に書きました。
- 町内会は、自分の番地がどこか調べてみる町内会・自治会は、区のホームページから加入の連絡ができます(2024年3月更新)。窓口の地域振興課は、万福寺1丁目の区役所内です。町内会の範囲は、町名とぴったり同じとは限りません。「自分はどこの町内会か」の案内ページで先に調べるのが近道です。入るか迷う人は、町内会の記事もどうぞ。
秋の万福寺で、足を運べる催し
(あさお区版2026年10月号より)
- 10月25日(日)しんゆり林間学校@ひのきやまPARK2026秋。午前11時〜午後5時。雨の日は11月1日に順延。
万福寺檜山公園 - 10月27日〜11月5日麻生菊花大会。
麻生市民館野外ステージ - 11月8日(日)あさお福祉まつり。午前10時〜午後2時。荒天中止。
区役所・市民館 - 11月26日(木)ヤマユリ植え替え講習会。要申し込み(11月2日まで)。
区役所
秋のほかの催しは、秋のお出かけカレンダー へ。駅の近くで時間が空いたときは、新百合ヶ丘の時間別ガイド が使えます。
3問クイズ 万福寺を、どのくらい知っている?
Q1 区役所の庁舎が建ったのは、何年?
1982年です(市の資料では「昭和57年」築)。麻生区が生まれたのも、1982年7月でした。
Q2 1955年ごろからの宅地造成で消えた、万福寺の名産は?
万福寺人参です。全国の品評会で5年続けて優等賞をとった、と地名報告書にあります。
Q3 万福寺の65歳以上の割合は、麻生区全体より高い? 低い?
低いです。万福寺は15.48%、麻生区は24.57%(2025年9月末)。ただし、2012年から2025年で、65歳以上は約78%増えています。
読んだ人の疑問5つ
- Q. 新百合ヶ丘駅は、万福寺なの?市の委託報告書では、新百合ヶ丘駅は万福寺1丁目にあります。くわしくは名前のなぞの記事へ。
- Q. 区役所は、いつまで今の場所にあるの?確認できませんでした。市の資料で決まっているのは、検討の進め方までです。基本計画は令和9年度の予定とされています。
- Q. 万福寺には、お寺はないの?名前の元になった寺は、いまはありません。町には、医王寺跡にたつ万福寺会館があります。
- Q. 子どもは、どの小学校に通うの?番地で、麻生小・百合丘小・千代ヶ丘小に分かれます。一覧は2017年更新なので、学区の調べ方で、窓口に確かめてください。
- Q. 水害のおそれは、どうなの?地名報告書では、万福寺側は鶴見川水系になる、とあります。自分の家の想定は、ハザードマップの見方で調べてください。この記事では、浸水の想定は確かめていません。
次の一歩
市は、新百合ヶ丘駅周辺のまちづくりについて、引き続き市民の意見を募集しています(市のページ「新百合ヶ丘駅周辺地区のまちづくりに関する意見募集について」)。万福寺に住んでいる人も、通っている人も、自分の町の次の40年に、ひとこと言える立場です。まずは、そのページをのぞいてみてください。
出典
- 川崎市委託事業報告「川崎市北部 多摩区・麻生区の町名の移り変わり」(日本地名研究所、2018年)(万福寺の歴史・万福寺人参・万福寺会館・面積)
- 川崎市「麻生区地区カルテ(町別)」万福寺の地域情報シート(人口・世帯・年齢の数字は2025年9月末、ほかは2020年国勢調査。ページは2026年7月23日更新)と、町別28枚のシート
- 川崎市「新百合ヶ丘駅北側地区まちづくりの基本的考え方について」(2026年3月11日公開、2026年6月18日更新)
- 川崎市「新百合ヶ丘駅北側地区まちづくりの基本的考え方(案)」概要版(2025年12月公表。公共施設の築年、北口駅前広場、バス路線の数)
- 川崎市「新百合ヶ丘駅北側地区まちづくりの基本的考え方(案)」意見募集ちらし(駅の開業は昭和49年)
- 川崎市「『基本的考え方』に基づく整備誘導の進め方について」(スケジュール。ファイル名から2026年7月とみられますが、日付は確認できませんでした)
- 川崎市「新百合ヶ丘駅周辺地区まちづくり方針について」(2025年3月13日)
- 川崎市教育委員会「あたらしい麻生市民館・図書館の整備に向けた検討」(2026年6月9日)
- 麻生区統計書「統計データから見た麻生区の現況」(2026年3月)(区の成り立ち。区統計書のページは2026年4月13日更新)
- 川崎市「避難所(指定避難所)一覧表」(2025年4月1日現在)
- 川崎市「川崎市防災マップ」麻生区版(2026年4月1日現在の情報。2026年6月18日更新)
- 川崎市「収集日一覧(多摩区・麻生区)」(2026年4月1日更新)と、麻生区の小学校 町丁名順一覧(2017年11月20日更新)
- 川崎市麻生区「町内会・自治会への加入について」(2024年3月6日更新)
- あさお区版 2026年10月号(麻生区役所)(2026年10月1日発行)
- 写真:ウィキメディア・コモンズ「Building of Asao General Government Office.jpg」(Kkairri/CC BY-SA 3.0)
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