はるひ野は、駅名が先で町名があと 川崎で初めてひらがながまざった町

最終確認日
はるひ野には、漢字が少ししかありません。
町名は「はるひ野」。ひらがなと漢字を合わせた表記は、川崎市で初めての住居表示だった、と市の委託調査の報告書にあります。住民のなかには、「黒川はるひ野」にしてほしい、という声も強かったそうです。
この記事は、その「はるひ野」の名前の順番から、駅から出るバス、通う学校、近くの里山までを、公開されている資料だけで歩きます。私たちは、まだ現地に行っていません。書いてあるのは、資料から読み取れたことだけです。
犬はるひ野って、どうして「はるひ野」ってひらがななの?
猫町をつくった人たちが、春を思う明るい名前にしたかったの。順番も、ちょっと変わっているのよ。
この駅だけの一言は、何?
はるひ野駅の一言は、これです。
はるひ野は、駅名が先で、町名があと。川崎市で最初の「ひらがながまざった町名」。
報告書(日本地名研究所、2018年)によると、はるひ野1〜5丁目は、住宅を売り出すときに、開発事業者が「春を連想する明るい町」というイメージを考えました。駅名ができ、町の名があとから追いかけた、という書き方です。
となりの黒川駅も、駅が先で町があとでした(くわしくは黒川駅の記事)。でも、はるひ野は、町の名前そのものを事業者が考えたこと、そしてひらがな入りだったことが違います。ほかの6駅の資料では、同じ話は見つかりませんでした。
開業日は、2004年12月11日です(小田急電鉄のハンドブック2021の駅一覧)。麻生区役所のあゆみには「2004年(平成16)はるひ野駅開設」とあります。
「はるひ野」は、どこからできた町?
もとは、黒川という町の一部でした。
報告書は、はるひ野は黒川の字「谷ツ」と「柳之町」の全部と、「宮添」「海道」の一部からできた、と書いています。2006年に、麻生区はるひ野1〜5丁目が生まれました。駅の住所は、川崎市麻生区はるひ野5-8-1です(小田急電鉄の駅案内)。
町の下には、昔の小さな地名が残っています。
- 谷ツ(やつ)小名は「牢場(ろうば)」。「ろう口」「うまやの谷戸」とも呼ばれた、奥まった深い谷だった
報告書。谷戸は、丘のあいだの細い谷のこと - 横峯(よこみね)その谷でいちばん高い所を、そう呼んでいた
報告書。いまは「黒川よこみね緑地」の名前が残っている - 柳之町小名にも「柳ノ町」があり、「池谷戸」「やぶちあい」などの地名がある
意味は不明、と報告書が書いている
昔の地名は、住所には出てきません。それでも、公園や緑地の名前として、いまも残っています。次の章で、その場所を見ます。
駅のある町が、黒川や南黒川とどう違うのかも、数字で見ておきます。
- はるひ野81ha 7,673人
面積は報告書、人口は2025年9月の地区カルテ - 黒川202ha 3,307人
面積は報告書、人口は2025年9月(黒川駅の記事) - 南黒川8ha 293人
同じ
学校は、いつできたの?
はるひ野小学校と、はるひ野中学校は、同じ建物でつながっています。
川崎市の資料では、平成15年度(2003年度)に、小・中学校の予定地と、小中を合わせて建てること(合築)が決まりました。2006年度には工事の契約、2007年度に校舎ができあがり、2008年度に、はるひ野小中学校として開校しています。民間の資金や技術を使う「PFI」という方法で建てられました。
その後も、校舎は大きくなっています。増築した校舎は2013年度に完成し、中学校の完全給食は2017年1月に始まりました(同じ資料)。給食の資料には、はるひ野小学校・はるひ野中学校は小中の合築校舎で、給食室は1つ、と書かれています。
どの町の子が通うのかを、川崎市の学区の一覧で見ます。
- はるひ野1〜5丁目小学校:はるひ野小学校 中学校:はるひ野中学校
- 黒川小学校:はるひ野小学校 中学校:はるひ野中学校
- 南黒川小学校:はるひ野小学校 中学校:はるひ野中学校
川崎市の「町丁名順一覧」は、2017年11月20日の更新です。番地ごとの学区は、一覧ではわかりません。通わせる前に、学校か区役所の窓口で確かめてください。
もうひとつ、資料から読めた数字があります。給食の資料にある、1日あたりの予定食数です。2026年6月の時点で、令和9年度は、小学校580食、中学校360食の予定でした。令和13年度は、小学校370食、中学校220食まで減る見込みです。これは給食の予定で、児童・生徒の人数そのものではありません。理由も書かれていません。
駅から出るバスは、どこへ行くの?
資料で確かめられたのは、稲城市のコミュニティバス「iバス」でした。
稲城市の資料(令和8年度からの運行計画)では、Bコースが、はるひ野駅と南多摩駅を結びます。運行は小田急バスです。往路の停留所は26か所で、はるひ野駅の次は「はるひ野駅入口」、そのあとが下黒川、若葉台駅、と続きます。
- 運行毎日。往路は1日10便の計画(第1便は6時45分に、はるひ野駅を出る)
稲城市の資料。時刻と便数は改正で変わります。運賃は別に決めると書かれていて、金額は確認できませんでした - かかる時間はるひ野駅から南多摩駅まで、第1便で55分(6時45分発・7時40分着)
同じ資料のダイヤ - 車両日野ポンチョロング(定員35名)
同じ資料
小田急バスの運行系統図(新百合ヶ丘営業所、2026年4月1日現在)にも、「はるひ野駅入口」という停留所の名前が載っています。ただ、図からは、小田急バス自身の路線の系統番号までは読み切れませんでした。
歴史も、少しあります。2013年1月28日付の稲城市議会建設環境委員会の調査報告では、そのころの「はるひ野駅〜稲城市立病院」の路線が、iバスの5路線のひとつでした。いまのBコースは、その先の南多摩駅まで走る計画です。
小田急の駅案内には、バスの乗り換えとして、小田急バスの案内へのリンクがあります。ただ、小田急バスの系統名と、ほかの会社のバスが出ているかどうかは、確認できませんでした。乗る前に、各社のバスの案内で確かめてください。
駅のまわりには、何があるの?
学校と、里山の公園と、直売所があります。資料で確かめられたものを、並べます。
- 黒川谷ツ公園はるひ野5丁目9。約3.2haの近隣公園
川崎市のマスタープラン。公園は、黒川特定土地区画整理事業でつくられた5つの都市計画公園のひとつ。2006年に開きました - 黒川よこみね緑地多摩市との境にある緑地。特別緑地保全地区
報告書。「水辺のある里山を守る会」が保全している(あさお区版2026年10月号) - よこみね池緑地のなかの湿地。谷戸のいちばん奥で、山の斜面から水がわいていた
報告書。いまも保護団体が管理している、と書かれている - 黒川海道特別緑地保全地区はるひ野3丁目と、黒川の字海道の境にある道
報告書(町歩きの資料)。「海道」は街道と同じ意味。美術展の資料では、「黒川海道緑地」の名前で出てきます - 汁守神社黒川の字宮添。黒川1番地は、ここから始まる
報告書。「宮のそばにある」という意味で、宮添と呼ばれた - セレサモス麻生店JAセレサ川崎の直売所。2008年4月26日開店
報告書(町歩きの資料)。営業時間は、確認できませんでした
谷ツ公園には、決まりがあります。マスタープランは、希少な動植物を守るため、管理者がいるときだけ開く方針を書いています。夜は閉じます。いまの開放日は、確認できませんでした。
標高も、ひとつ。国土地理院の標高データでは、はるひ野駅は約101mで、麻生区の7駅でいちばん高い駅です(7駅の標高の記事)。
年表で見ると?
- 1989年5月・1991年3月黒川特定土地区画整理事業の都市計画が決まる(1989年)。事業の認可(1991年)
川崎市「黒川谷ツ公園マスタープラン」の沿革。黒川谷ツ公園は、この事業でつくられた公園のひとつ - 2003年度小・中学校の予定地と、合築が決まる
川崎市の資料(はるひ野小中学校PFI事業) - 2004年12月11日はるひ野駅が開業
小田急のハンドブック2021、麻生区役所のあゆみ、報告書 - 2006年町名「はるひ野1〜5丁目」が生まれる。黒川谷ツ公園が開く
報告書、マスタープラン - 2008年度はるひ野小中学校が開校
川崎市の資料 - 2013年度・2017年1月増築校舎が完成(2013年度)。中学校の完全給食が始まる(2017年1月)
同じ資料 - 2025年「緑と道の美術展 in 黒川」が10回目を迎える
川崎市の報道発表(2025年10月1日)。会場は、はるひ野駅南口から黒川海道緑地、セレサモス麻生店まで
駅のできた年から数えると、はるひ野駅は、まだ20年あまりの駅です。
乗る人は、町に住む人より多い?
数字を、ひとつだけ見ます。
小田急電鉄の公表では、はるひ野駅の1日の乗り降り(乗降人員)は、2025年度に9,898人です。小田急70駅のなかで62位。2019年度は10,048人(62位)、2020年度は7,423人でした(ODAKYU HANDBOOK 2021)。
はるひ野の町の人口は、7,673人(2025年9月)。駅の乗降人員は、人口の約1.3倍です(私たちの計算)。乗る人の全員が、この町の人とは限りません。黒川や南黒川の人、里山や学校に来る人もいるでしょう。理由は、資料からは読めません。
町のほうの顔も、地区カルテにあります。
- 高齢化率(65歳以上)はるひ野 12.13%/麻生区 24.57%
- 年少(14歳以下)の割合はるひ野 14.40%/麻生区 11.51%
- 1人世帯の割合はるひ野 18.3%/麻生区 35.6%
- 住んで10年未満の人はるひ野 43.2%
地区カルテは、2011年9月と比べて、高齢化率は4.87ポイント上がり、年少の割合は12.98ポイント下がった、と書いています。町ができて20年。若い町も、少しずつ年を重ねています。
1年のなかで、いつ行けばいい?
確かめられた日付だけを並べます。
- 7月 黒川ひまわり畑2025年は、7月24日〜29日が開放日、30日が摘み取り体験
観光かながわNOW(川崎市の案内を引いたもの)。2026年の日程は、確認できませんでした - 11月 緑と道の美術展in黒川2026年は11月1日〜30日。黒川よこみね緑地ほか
あさお区版2026年10月号。2025年の会場は、はるひ野駅南口〜黒川海道緑地〜セレサモス麻生店 - 冬 クリスマスリース作り「水辺のある里山を守る会」が、自然の素材でリースを作るなどの活動をしている
あさお区版2026年10月号。日程は、確認できませんでした - 1月 どんど焼き黒川地区のどんど焼きは、昔は毘沙門堂の近くの三つ又で行い、いまは近くの明治大学黒川農場で行っている、と報告書にある
2018年の報告書の記述。いまの日程は、確認できませんでした
3問クイズ はるひ野、わかる?
Q1 はるひ野の町名ができたのは、何年?
2006年です。駅ができた2004年より、2年あとです。
Q2 はるひ野小学校と、はるひ野中学校は、どんな建物?
小中の合築校舎です。2008年度に、はるひ野小中学校として開校しました。給食室も、1つです。
Q3 はるひ野駅から出るiバスBコースの、行き先は?
南多摩駅です(稲城市の令和8年度からの運行計画)。往路の停留所は26か所です。
よくある疑問、5つ
Q1 はるひ野の学区は、どこですか? 小学校ははるひ野小学校、中学校ははるひ野中学校です(はるひ野1〜5丁目)。黒川と南黒川も、同じ学校です。一覧は2017年の更新と古いので、番地ごとの学区は、学校か区役所で確かめてください。
Q2 駅に駅員さんはいますか? 配置は9時35分から12時と、14時から17時50分です。ほかの時間は、インターホンで案内します(小田急電鉄の駅案内。変わることがあります)。改札口から上り・下りのホームへは、エレベーターがあります。
Q3 バスは、どこへ行きますか? 稲城市のiバスBコースが、南多摩駅まで走る計画です(小田急バスの運行)。ほかの系統は、確認できませんでした。時刻と運賃は、稲城市と小田急バスの案内で確かめてください。
Q4 ごみの収集日は? 川崎市の収集日一覧(2026年4月1日更新)では、はるひ野は、普通ごみが火曜・金曜、ミックスペーパーが水曜、空き缶・ペットボトル・空きびん・乾電池が木曜、プラスチック資源が月曜です。粗大ごみ・小物金属は、第2・4回目の木曜です。
Q5 はるひ野駅を使う人は、どのくらいいますか? 1日の乗り降りは9,898人(2025年度、小田急電鉄)。麻生区の7駅では、黒川駅より少し多く、五月台駅より少し少ない数字です。
事実は、順番です。2004年に駅ができ、2006年に町の名前がつき、2008年に小中学校が開く。町は、順番どおりに「暮らす場所」になりました。
発見は、ひとつ。谷戸の奥の「牢場」だった場所に、ひらがなの町名と、里山の公園と、小中の学校がそろっています。名前は新しいのに、地名の下に、昔の谷が残っている。ほかの6駅の資料には、この組み合わせは見つかりませんでした。
次の一歩
次の休日に、はるひ野駅の南口から、黒川谷ツ公園の方へ、地図を開いてみてください。公園に入れるのは、開放日だけです。まず、市の案内で日を確かめてください。
11月は、緑と道の美術展があります。駅の名前の由来をもっと知りたい人は、黒川駅の記事へ。ほかの駅と比べたい人は、麻生区の7つの駅を並べてみたへ。
駅のまとめページは、はるひ野駅の一覧です。
出典
- 日本地名研究所「川崎市北部 多摩区・麻生区の町名の移り変わり」(川崎市委託、2018年)(黒川地区、はるひ野の開発・町名・字、面積)
- 同報告会資料「町歩き 多摩市境の黒川・はるひ野」(2018年)(ひらがなと漢字の町名、黒川谷ツ公園、よこみね緑地、汁守神社、セレサモス、どんど焼き)
- 小田急電鉄「はるひ野駅のご案内」(住所、駅員の配置時間、エレベーター、バスの乗り換え。2026年10月2日に確認)
- 小田急電鉄「鉄道部門:駅別乗降人員・輸送人員ほか」(2025年度の乗降人員9,898人、順位)
- 小田急電鉄「ODAKYU HANDBOOK 2021」p.45(はるひ野駅の開業日 2004年12月11日)/同 p.47(2019年度・2020年度の乗降人員)
- 小田急バス「新百合ヶ丘営業所 運行系統図」(2026年4月1日現在)(「はるひ野駅入口」の停留所)
- 稲城市「iバス第Ⅲ期見直し路線の運行計画等について」(令和8年度の運行計画)(Bコースのルート、停留所、距離、ダイヤ)
- 稲城市「iバスの調査報告」(2013年1月28日付)(当時の「はるひ野駅〜稲城市立病院」路線)
- 川崎市「黒川地区小中学校新設事業(はるひ野小中学校PFI事業)契約の変更内容について」(合築の決定から開校、増築、完全給食までの経過)
- 川崎市「川崎市立はるひ野小中学校 給食業務概要書」(令和8年6月現在)(小中合築校舎、給食室、予定食数)
- 川崎市「黒川谷ツ公園マスタープラン」(面積、所在地、沿革、開放の方針)
- 川崎市麻生区「麻生区地区カルテ 地域情報シート(はるひ野)」(人口、世帯、年齢の割合。2025年9月)
- 川崎市麻生区「麻生区役所のあゆみ」(2024年3月27日更新。2004年のはるひ野駅開設)
- あさお区版 2026年10月号(麻生区役所)(緑と道の美術展in黒川2026、水辺のある里山を守る会)
- 川崎市「緑と道の美術展 in 黒川2025が開催されます」(2025年10月1日発表)
- 川崎市「麻生区の小学校(町丁名順)」(2017年11月20日更新。中学校の一覧と合わせて、学区)、川崎市「収集日一覧(多摩区・麻生区)」(2026年4月1日更新)
- 観光かながわNOW「黒川ヒマワリ畑の開放&摘み取り体験」(2025年の日程)
- 写真:ウィキメディア・コモンズ「Haruhino Station in Nov 2009.jpg」(Nikm/パブリックドメイン)、「Haruhino station3.JPG」「Haruhino station4.JPG」「Haruhino school entrance.JPG」「I bus at Haruhino entrance.jpg」(いずれも Hahifuheho/CC0)
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