2000年5月までの木造も耐震診断が無料に 麻生区19地区の早見

丘の上から見たはるひ野地区の住宅地。手前に一戸建ての屋根が並び、奥に大きな建物と緑の丘が見える
写真:多摩に暇人/CC BY 3.0(出典(別のウィンドウで開きます)・縮小)

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家の書類をしまった引き出しを、最後に開けたのはいつでしょう。「うちは新しい耐震基準だから」と思っていた木造の家も、2026年4月から、川崎市の耐震支援の対象に入ったかもしれません。

対象の線は、昭和56年(1981年)5月から、平成12年(2000年)5月31日まで広がりました。麻生区は、その前後に区画整理で生まれた町がたくさんあります。

この記事では、市の制度ページと案内のチラシ(原本)で確かめた条件・金額・受付期間と、区画整理19地区の「町ができた年」の早見、そして「うちは対象?」を家の書類で確かめる順番をまとめます。(記事は公式の資料を読んでまとめたもので、現地には行っていません)

先に答え
  • 対象は、2000年5月31日以前に工事を始めた、木造2階建て以下・在来工法の住宅(ツーバイフォー・パネル工法は対象外)。
  • 無料の耐震診断の申込みは、毎年度4月〜11月末。
  • 改修の助成の受付は、毎年度4月〜10月末。今年度は、あと4週間ほどです。
  • 町ができた年は、家を建てた年ではありません。対象かどうかは、家の書類の日付で確かめます。
  • 申込み・問い合わせは、川崎市まちづくり局 防災まちづくり推進課 耐震化支援担当(電話 044-200-3017)。

2026年4月から、何が変わったの?

家の居間

ポン君

うちは新しい耐震基準だから、関係ないよね

ポン君リンちゃん

平成12年5月以前の木造も、対象になったの

川崎市の木造住宅の耐震支援は、2つあります。市が登録した建築士(耐震診断士)を無料で家に送る「診断士派遣」と、耐震のための工事の費用の一部を出す「改修助成」です。

これまでの対象は、昭和56年5月以前に建てた、古い基準(旧耐震)の木造住宅でした。令和8年(2026年)4月から、平成12年5月以前に建てた、新しい基準(新耐震)の木造住宅も、両方の制度の対象になりました。

なぜ広げたのか。市のチラシは、熊本地震(2016年)や能登半島地震(2024年)で、旧耐震の家に加えて、平成12年より前の木造住宅の一部でも倒壊などの被害が報告された、と説明しています。チラシには、国土交通省と建築研究所の資料をもとにした、建てた時期ごとの被害の割合のグラフも載っています。

ここで大事なのは、「新耐震だから全部が弱い」という話ではないことです。市は、耐震の性能を確かめることと、必要なら耐震化することをすすめています。まずは診断で、自分の家の数字を知る。そこが出発点です。

うちは対象? 4つの条件は?

市の制度ページでは、次の全部に当てはまる住宅が対象です。

  • 2000年5月31日以前に、建築工事に着手した市のページの書き方は「着手」です。チラシでは「建てられたもの」とまとめています。
  • 木造で、2階建て以下一部が鉄骨造などの混構造は、対象外です。
  • 住宅である一戸建てのほか、共同住宅・長屋・店舗などと兼ねた住宅も入ります。
  • 木造の在来工法ツーバイフォー工法・パネル工法は、対象外です。

ほかに、診断は「前に市の制度で耐震診断や耐震改修などをした家」は対象外です。改修助成は「明らかに建築基準法に合っていない家」が対象外で、市の職員が現地を調べます。持ち主が市外に住んでいても、家が川崎市内にあれば申請できます。

うちは対象?の分かれ道。①木造2階建て以下か、②在来工法か、③工事の着手が2000年5月31日以前か、④前に市の制度で診断を受けていないか、を順に確かめる。全部当てはまれば無料の耐震診断を申し込む(毎年度4月〜11月末)。評点が1.0未満なら改修を考え、改修助成は電話で事前審査を申し込む(毎年度4月〜10月末)
「うちは対象?」を確かめる順番。川崎市の制度ページと、2026年4月作成の案内をもとに、私たちで作成しました。

2000年5月より前か後か、どの書類で確かめる?

ポン君リンちゃん

越してきた年で、分かるかな

それでは決められないの。家の書類を探すのよ

いちばん迷うのが、3つ目の「いつ工事を始めたか」です。記憶や、引っ越してきた年では決められません。家の書類を探します。

  1. 建てたときの書類を探す
    建築確認のときに受け取る「確認通知書」(いまの名前は「確認済証」)や、工事のあとの「検査済証」には、日付が書かれています。建てた会社の契約書や図面のファイルも、見てみてください。
  2. 書類が見つからなければ、市で調べる
    川崎市まちづくり局の建築管理課で、「建築確認等台帳記載事項証明書」が取れます。建築確認と完了検査の番号・交付の年月日などを証明するもので、1通300円です。
  3. 「建築計画概要書」も手がかりになる
    確認申請のときに出された書類で、閲覧は無料、写しは1件300円。対象はおおむね昭和46年以降に建築確認があった建物です。2026年3月16日からは、利用者登録をすれば、家のパソコンなどで見られるようになりました。
  4. 日付が5月前後なら、市に聞く
    制度の条件は「工事に着手した日」です。書類の日付と、工事を始めた日は、同じとは限りません。2000年の春から夏ごろの日付なら、書類を手元に置いて、耐震化支援担当に電話で確かめるのが確実です。

2000年6月以降に工事を始めた木造住宅は、この制度の対象外です。その場合も、市は無料の相談先として、川崎市住宅供給公社のハウジングサロン(電話 044-874-0180)と、川崎市建築設計事務所協会(電話 044-201-9201)を案内しています。

麻生区の町は、いつできたの? 区画整理19地区の早見

ここからは、町の話です。川崎市の「土地区画整理事業 完了地区一覧」(2019年3月1日現在)には、麻生区の地区が19並んでいます。区画整理は、道路や公園を整えながら土地の区画をつくり直す事業で、最後に「換地処分」を公告して終わります。町の形が決まった日、と考えると分かりやすい日付です。

その換地処分の日で、2000年より前と後に分けました(町名は一覧の「目安となる町丁目名」)。町ができた年と、給湯器・屋根・外壁の手入れの目安の話は「麻生区の町の誕生年」にあります。

  • 1961年11月生田地区:百合丘1〜3丁目、東百合丘4丁目、高石4丁目
  • 1971年7月細山地区:千代ヶ丘5〜7丁目
  • 1973年9月早野地区:虹ケ丘1〜3丁目、王禅寺
  • 1976年10月柿生第二地区:白鳥1〜4丁目、栗平1〜2丁目
  • 1979年10月黒川第一地区:南黒川、栗木台2〜3丁目
  • 1981年11月細山第二地区:千代ヶ丘7〜9丁目
  • 1982年1月栗木第一地区:栗平1〜2丁目、栗木台1〜5丁目、南黒川
  • 1982年8月柿生第一地区:五力田1〜3丁目、片平1・2・5丁目、白鳥1丁目
  • 1984年3月新百合丘駅周辺特定地区:上麻生1〜3丁目、万福寺1〜2丁目、百合丘2丁目
  • 1987年8月金程向原地区:金程1〜4丁目、向原1〜3丁目
  • 1987年10月山口台地区:上麻生2〜4丁目、王禅寺西6丁目
  • 1999年3月栗木第二地区:栗木1〜3丁目
    同じ日に、川崎市向原地区(向原2丁目)も

ここまでの13地区が、2000年より前です。後の6地区は、次のとおりです。

  • 2002年5月細山西地区:細山8丁目
  • 2002年9月五力田地区:白鳥4丁目
  • 2003年8月細山金井久保地区:細山7丁目
  • 2006年3月黒川特定地区:はるひ野1〜5丁目、黒川
  • 2007年4月片平地区:片平6〜8丁目
  • 2007年12月万福寺地区:万福寺3〜6丁目、万福寺、千代ヶ丘1丁目
町の年は、家の年ではありません

換地処分の日は、町の工事が終わった日です。家は、事業の途中から建ちはじめることもあれば、何十年もあとに建て替わることもあります。1961年にできた町でも、建て替えた家なら、工事は2000年6月以降かもしれません。「この町だから対象」「この町だから対象外」とは言えません。家ごとの日付は、前の節の書類で確かめてください。

一覧の年を、もう一歩だけ読みます。帯の左端は事業計画が決まった日、右端の点が換地処分の日です。

麻生区の区画整理19地区の、事業計画の決定から換地処分までの期間を帯で示した図。2000年5月末に縦の点線。栗木1〜3(1987〜1999年)、白鳥4(1991〜2002年)、はるひ野・黒川(1991〜2006年)は、期間が長く、白鳥4とはるひ野・黒川、細山7・細山8は期間の途中に2000年5月がある
区画整理の期間と「2000年5月」。川崎市「土地区画整理事業 完了地区一覧」(2019年3月1日現在)から、私たちで作成しました。年は月を小数にしたおおよその位置です。

ポン君うちの町は換地処分が2002年。なら、対象外だよね?

リンちゃんちょっと待って。事業が1990年代に始まった地区もあるの。決めるのは、家の書類の日付よ。

図にすると、気づくことがあります。換地処分が2000年より後の地区でも、事業そのものは1990年代に始まっているものがあります。白鳥4丁目の五力田地区は1991年12月、はるひ野・黒川の黒川特定地区は1991年3月に事業計画が決まりました。2000年5月の線は、事業の期間の途中を通っています。「換地処分が2002年だから、うちは対象外」とは、ここでも決められません。

逆に、栗木1〜3丁目の栗木第二地区は、1987年3月に事業計画が決まり、1999年3月に換地処分。12年かけてできた町です。

1974年ごろの新百合ヶ丘駅の上空写真。駅のまわりは林と造成地で、家は写真の端にまとまっている
1974年ごろの新百合ヶ丘駅の上空。駅のまわりの区画整理(新百合丘駅周辺特定地区)は、1977年に事業計画が決まり、1984年に換地処分になりました。(出典:国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)。ウィキメディア・コモンズに Cassiopeia sweet が登録。撮影の時期は、いまの様子とはちがいます)
1989年の新百合ヶ丘駅の上空写真。駅前に大きな建物や駐車場、道路が整い、まわりに住宅が並んでいる
同じ場所の1989年。換地処分から5年後で、駅のまわりには、まだ空き地や駐車場も見えます。町ができた年と、そこに家が建った年がずれる様子が分かります。(出典:国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)。ウィキメディア・コモンズに Cassiopeia sweet が登録)

一覧に出てこない町は?

この一覧に、町名が出てこない町もあります。下麻生、多摩美、古沢、白山、早野、岡上、王禅寺東です。地区名の「早野」は虹ケ丘・王禅寺のことで、町名の早野は一覧にありません。

また、高石・東百合丘・細山・王禅寺西・片平・千代ヶ丘・上麻生は、一覧に出てくるのが一部の丁目だけです。出てこない町や丁目の「町ができた年」は、この一覧からは分かりません。ただ、どちらにしても、耐震支援の対象かどうかを決めるのは、家の書類の日付です。

区画整理の換地図は、市のページ「換地図等の閲覧」で、区ごとに見られます。万福寺の町の移り変わりは、万福寺の掘り下げ記事に、はるひ野の町名の成り立ちは、はるひ野駅の記事に書きました。

無料の診断は、どう進むの?

申込みは、木造住宅耐震診断申請書を、防災まちづくり推進課に郵送するか、窓口に持っていきます。市のネット申請(LoGoフォーム)も使えます。受付は毎年度4月〜11月末です。

  1. 申し込む
    市が、制度の対象になるかを審査します。
  2. 約1か月後、派遣の決定通知が届く
    通知には、来てくれる診断士の名前と連絡先が書かれています。受付の状況によっては、もっとかかることがあります。
  3. 診断士から連絡が来て、45日以内に現地調査
    診断士が家を調べます。時間は2〜3時間ほどです。
  4. 約1か月後、結果の説明
    診断士が家に来て、報告書を説明します(2〜3時間ほど)。家のいまの「評点」と、参考として補強工事のおおよその費用が分かります。

案内に書かれた目安(約1か月・45日以内・約1か月)を足すと、申込みから結果の説明まで、長ければ3か月を超えます(こちらで計算)。

診断の結果は、「上部構造評点」という数字で出ます。家がいま持っている強さを、大きな地震(震度6強程度)に耐えるのに必要な強さで割った値です。市の案内では、1.5以上で「倒壊しない」、1.0以上1.5未満で「一応倒壊しない」とされ、1.0未満なら、建て替えや耐震改修などを考えましょうと書かれています。

診断を受けたら、必ず改修しなければならない、ということはありません。市のページにも、診断を受けるだけでもよい、と書かれています。

10人令和8年度の川崎市木造住宅耐震診断士名簿で、連絡先が麻生区にある診断士の数。市内外の合計は92人です。派遣の場合は、市が決めた診断士が来ます。

改修の助成は、いくらまで?

改修助成の対象になる工事は、基礎や壁、屋根などの工事で、耐震性を高めるためのものです。精密な診断・補強の計画・工事の監理も含みます。工事は2種類あります。

建物全体の改修1階と2階の全体の評点を、1.0以上にする工事。
部分改修1階だけの評点を1.0以上にする工事か、全体の評点を0.7以上にする工事。

助成の上限は、世帯によって変わります。「非課税世帯」は、市民税が非課税の世帯で、その家に住む全員の過去1年分の非課税証明書を出せる世帯です。

  • 全体・一般世帯計130万円まで
    改修計画は費用の4/5で20万円まで、補強工事は4/5で110万円まで
  • 全体・非課税世帯計180万円まで
    改修計画4/5で20万円まで、補強工事4/5で160万円まで
  • 部分・一般世帯計100万円まで
    改修計画2/3で20万円まで、補強工事2/3で80万円まで
  • 部分・非課税世帯計135万円まで
    改修計画3/4で20万円まで、補強工事3/4で115万円まで

計算の例です(こちらで計算)。一般世帯で建物全体を改修し、補強工事が150万円だったとします。150万円の4/5は120万円ですが、上限が110万円なので、補強工事の助成は110万円。改修計画が25万円なら、4/5の20万円がそのまま上限と同じです。合わせて130万円になります。

注意が1つ。助成の対象は耐震改修の部分だけで、リフォームの費用や消費税は含みません。外壁の塗り替えや、間取りの変更をいっしょにする場合、その分は自分の負担です。耐震改修をした家は、所得税の特別控除や固定資産税の減額を受けられる場合もあります(市のページに案内があります)。

万福寺おやしろ公園から新百合ヶ丘駅の方向を見た景色。手前に線路と道路、奥にマンションやビルが並ぶ
万福寺おやしろ公園から、新百合ヶ丘駅の方向。万福寺3〜6丁目は、2007年に換地処分になった地区です。(撮影:Souka Kinmei/CC0。2024年7月撮影。いまの様子とはちがうかもしれません)

改修の助成、10月末までに何をすればいい?

10月のある日

ポン君リンちゃん

改修の助成、10月末に間に合う……?

受付は10月末までよ

改修助成の受付期間は、市のチラシと案内に「毎年度4月〜10月末」と書かれています。今年度なら2026年10月末で、この記事の日(10月4日)から4週間ほどです。

流れは、案内では次のとおりです。

  1. 事前審査を申し込む
    まず電話で申し込みます。市の職員が現地を調べ、結果の連絡まで30日程度です。
  2. 助成金の交付を申請する
    助成できる場合は、市から内容と書類の説明があり、正式な申請書を出します。
  3. 交付決定の通知を受け取ってから、契約する
    通知の前に結んだ工事の契約は、助成の対象になりません。診断士と改修計画の契約をし、そのあと施工者と工事の契約をします。
  4. 工事を始め、着手届を出す
    工事は、交付決定の通知の日から75日以内に始めます。着手届は、工事を始めてから4日以内です。
  5. 完了報告を出して、助成金を受け取る
    完了報告は、工事が終わってから3か月以内で、最終の期限は1月末です。そのあと金額の確定通知が来て、請求書を出します。

ひとつ、案内から読み取れなかったことがあります。「10月末」までに済ませるのが、事前審査の申込みなのか、交付の申請なのかです。今年度の助成を考えているなら、早めに耐震化支援担当(電話 044-200-3017)に聞いてください。

一方で、診断から始める家は、上の計算のとおり、結果の説明まで3か月ほど、長ければそれ以上かかることがあります。診断の申込みは11月末まで受け付けているので、今年度は診断、改修の相談は来年度の4月から、という順番も考えられます(こちらの整理)。

業者・サービスを選ぶ前に、確かめることは?

耐震の改修を、外壁や屋根の工事といっしょに考える人もいると思います。助成を使うつもりなら、先に知っておきたい決まりがあります。

  • 診断士・施工者は、市の登録名簿から選ぶ改修助成では、市に登録した診断士・施工者と契約します。令和8年度の施工者名簿は85社で、連絡先が麻生区にあるのは4社です。名簿は市のページで見られます。
  • 診断士と施工者は、できるだけ別の業者に工事の監理をきちんとするためで、市の案内にそう書かれています。
  • 交付決定の通知の前に、契約しない先に契約すると、助成の対象から外れます。
  • 金額・期間を書面で確かめる契約は、自分と業者のあいだの民事契約です。不安があれば、弁護士か消費者行政センターに相談するよう、市は案内しています。

地震のときに逃げる場所や、家のまわりの土砂の危険も、あわせて見ておくと安心です。麻生区のハザードマップの見方にまとめています。

ポン君リンちゃん

引き出しの書類、探してみる

日付が5月前後なら、市に聞いてね

出典

内容は変わることがあります。申込みの前に、最新の条件と受付期間を、川崎市の公式の案内で確認してください。

掲載内容は最終確認日時点のもので、変わることがあります。営業時間・料金・予約や申し込みの方法など、正確な情報は、店舗・施設・主催者・役所の公式の案内でご確認ください。当サイトでは、掲載先についての個別のお問い合わせにはお答えできません。